秋の筑波山観察会
11月19日、今年2度目となる「秋の筑波山観察会」が開催されました。今回のコースは裏筑波のユースホステル跡(以下YH跡とする)→御幸ヶ原→女体山→筑波高原キャンプ場→YH跡の静かな登山道をインストラクターと共に紅葉をめでながら観察会を楽しみました。
YH跡からの登山道は標高差250m、距離も1.2kmと、なだらかで観察には適した登山道です。
表登山道とは一味違って雑木も多く、特に春のカタクリ、スミレ類、ニリンソウ等の群落は一見の価値があります。アカシデ、イヌスデ、クマシデ等の落葉樹の外にウリハダカエデ、オオモミジ、シラキ等の紅葉、クロモジ、アワブキ等の冬芽、地表にはカシワバハグマ、オクモミジハグマ、キッコウハグマ等が混生し、ミヤマシキミの真っ赤な実がひときわ印象的でした。登山道脇に並んだコアジサイは開花期が楽しみです。
中腹より上に登るとブナ、イヌブナ、ミズナラが出現し始め、登山道脇はアブラチャン、ヤマアジサイにかわっていきます。御幸ヶ原での昼食は茶店にお邪魔してそれぞれに暖かい昼食をいただきました。
昼食後、御幸ヶ原で林支部長から筑波山のブナやミズナラの植生についてお話がありました。ここのブナの多くは登山者に根を踏まれ、地表も固く露出しています。実生の発芽も期待できず次世代のブナが育つことの出来ないこれからの筑波山が懸念されます。つくばにTXが開通して早一年。筑波山を訪れる観光客は増える一方です。そんな中で筑波山のブナ達をいかに守っていくかは、今の私たちに課せられた問題だと思います。
女体山脇からキャンプ場へ下りました。春先にはピンクの新葉が初々しかったヒトツバカエデもすでに葉を落とし活動を停止していました。このコースには植林されたヒノキも多く見られますが途中の防火帯の周りにはブナやシデ類の落葉樹が多く、ここもカタクリの美しい場所の一つです。
下り道の終点近くで残り少ない花フクオウソウを見つけました。キャンプ場からは車道をYH跡へ少しの登り道がありますが、テンニンソウ、ボタンヅルが混生していて長い白髭のような花柱を沢山残していました。これが風に乗って飛ぶ姿を想像するのも楽しいですね。天気に負けない有意義なひと時でした。
今回参加してくださった皆様、ありがとうございました。また春の観察会でお会いしましょうね。