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八溝山・月居山・奥久慈憩いの森観察会

5月19日(土)・20日(日)に八溝山、月居山、奥久慈憩いの森で観察会を実施しました。

その1「八溝山観察会」 | その2「月居山観察会」 | その3「憩いの森観察会」

「奥久慈憩いの森観察会」の報告

1.日時  2007年5月20日(日)午後1時〜3時

2.場所  久慈郡大子町高柴奥久慈憩いの森

午前中は月居山で、午後は憩いの森のダブル観察会を実施しました。この観察会は「憩いの森自然体験ツアー」への一般参加です。

自然体験ツアーのプログラムは「春の植物観察会」で、テーマは"色々な草花が咲き乱れています、自然観察指導員の話を聞きながら森と一体になろう!"です。

まずは一般参加者の加わる前に森林インストラクター会のメンバーの記念写真です。いつもの通り参加者に堀内晴生さん(2段目左)の参加を頂きましたので極め付きの快晴になりました。堀内さんいつも有難うございます。

そして学習館前で一般参加者と合流し出発しました。観察コースは、学習館前〜昭和天皇・皇后陛下お手植えの木〜モミジ谷〜遊具広場〜水の広場〜学習館までの約2時間です。

歩き始めに左土手上に3本のヤマナラシがあります。この木の葉は硬いので風が吹くと葉と葉が擦れてザワザワと音がし、あたかも"山が鳴る"ように聞こえるのでこの名がついたと言われています。しかし午前中の強い風が午後には治まってしまい残念ながら「ヤマナラズ(山は鳴らず)」の木でした。

また1976年5月第27回全国植樹祭において昭和天皇陛下・皇后陛下が植樹されたヤマザクラ1本とスギ2本(森の形に植樹)の記念樹の背後から「風の笹道」を通して記念の塔を見学しました。(森の頂上に現代的な銀色の塔が・・・何か変?)

新芽の枝が風に揺れるケヤキ並木を歩きモミジ谷に入りました。ミミガタテンナンショウやフタリシズカの群生、小さな草のような樹木のフッキソウの群落を見て、アケボノスミレやエイザンスミレの大きく成長した葉を観察しました。スミレは花の時期を終わると来年のエネルギーを蓄えるために葉を大きくして太陽の光を充分に受けるそうです。

そしてここモミジ谷は憩いの森で最大の植物群生地です。ヒトリシズカやキランソウ、また花の後で大きく伸びる花柄を持つツルカノコソウ。マルバコンロンソウ、クワガタソウやツクバネソウの花。そしてもう実になってしまったムラサキケマン。エンレイソウも見ましたし、ニリンソウの花もまだ少し残っていました。

メタセコイアの林の脇を通り過ぎて登りにかかります。足元にはオクモミジハグマをはじめとする各種ハグマ類があちこちに見られ、ツルリンドウは今にも踏まれんばかりに道に這いつくばっていました。シハイスミレも見えます。そして既に実になってしまったイワウチワの群生地です。盗掘しようとして入ると神の罰を受けて谷底に落ち込む所に護られて生息しています。また登りきる直前の左手に「オトコヨウゾメ」の木が花を付けていました。"何でオトコヨウゾメの名が?"の質問に自然観察指導員は答えられませんでした。登りきったところにクマシデの木があってシデの花を付けていました。足元にはモモイロキランソウなども見られました。

その後「遊具広場」への登りにダイオウグミ(実が大きいのでビックリグミの名も)が、また内緒の約束で見てもらったサイハイランの芽も出ていました。遊具広場には入らずに下って「水の広場」の脇にはキササゲが長い実を吊り下げていました。そこにはドイツトウヒや珍しいネグンドカエデ(トネリコバノカエデ)も見られました。

池の中には沢山のオタマジャクシが泳いでいます。先月ここに来た時にはちょうどカエルの恋愛期で池のあちこちで雌を求めて争っていました。(参考までに、オタマジャクシはカエルになると一晩で山の中に餌を求めて姿を隠します。)

最後に2005年第56回全国植樹祭の第2会場になった折、事務局長の中村さんが植樹した桜の木を見学して各自勝手な意見を述べていました。そして学習館に戻り長い一日を終了しました。(皆さんご苦労様でした。)

*オトコヨウゾメの名の由来*

「山と渓谷社」の図鑑には、"定説はない。ガマズミ類をヨソゾメと呼ぶ地方があり、果実が熟すと子どもたちが食べる。ガマズミに比べて、本種の果実のほうがやせていて、食用にならないので男を冠してオトコヨウゾメになったのではないかと言う見解がある。"とありました。

文と写真  林 聰一郎

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最終更新日:2011年8月15日
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