八溝山・月居山・奥久慈憩いの森観察会
5月19日(土)・20日(日)に八溝山、月居山、奥久慈憩いの森で観察会を実施しました。
その1「八溝山観察会」 | その2「月居山観察会」 | その3「憩いの森観察会」
「八溝山観察会」の報告
2007年5月19日(土)、茨城・栃木・福島の3県にまたがる茨城県の最高峰八溝山(標高1022m)で観察会を実施しましたので報告します。
国道118号線の道の駅「奥久慈だいご」に集合し、下野宮から県道22号線で約20分、八溝山登山口の鳥居に到着。そこから細い険しい山道を車で10分、山頂に至りますが、途中8合目付近には大きなダケカンバが車窓から見え、また各所にブナの大木も散見できました。天候は曇り・雨の予報でしたがさらに八溝山は標高も高く北部に位置しますので県央と比較して7〜8℃も気温が低いと肌身で涼しさを実感しました。
時々ポツポツとする中、午前10時40分に林道から久慈川源流に向かって森の中に入りました。木々の葉はまだ芽を吹いたばかりで、何とも表現できない柔らかな一面の緑、そして各種カエデが群生し八溝山の植生の多様性にビックリ。しかもこんなに大きな葉があるだろうかと思われるようなハウチワカエデ、イタヤカエデやチドリノキそしてヒトツバカエデなどが足下に広がっていました。10分ほど下って行くと突然北の空が明るくなり若葉を通して軟らかい陽が差し込んできました。
その瞬間から植物観察会と言うより撮影会になったようで、皆さんはシャッターをパチパチと周りの風景や足元のイワウチワの群生をカメラに収めていました。また回りをよく見回すと一面のゴヨウツツジの群生が見られました。
ゴヨウツツジは皆さんも良くご存知の敬宮愛子内親王のお印の木で、アカヤシオに対してシロヤシオの別名があります。沢山の花は付けませんが一つ一つが優雅な花です。さらにこの樹木の特徴的なものは樹皮です。あたかもアカマツのようです。もちろん別名はマツハダ(次の写真)と言うのも納得できる名前ですが。
写真を撮る機会が多かったので時間の経過も早く、予定した鹿ノ又林道へは1時間遅れの12時半。そこで昼食をとって休むまもなく林道を下り道端の草や樹木を観察しながらの楽しい散策ができました。
特に、アザミの仲間のトネアザミ(別名タイアザミ)の変わった性質を観察しました。このアザミは春の芽生えの時は長楕円の鋭頭・楔形をした少し鋸歯のある葉を1枚だけ持っています。またアザミに特徴的な棘がない葉ですが、成長と共に序々に切れ込みのある葉が、また棘を持った葉が出てきて花の時期に見られる葉になります。そんなアザミの葉の変化が山を下る毎に観察できたのは幸いでした。
林道入り口に到着したのは予定を1時間半も上回った3時半でしたが見事な植物の観察をしたためか、はたまた森林でフィトンチッドを十二分に浴びた効果か清々しい気分で疲れも余り感じませんでした。
その後あらかじめ回しておいた自動車に乗り込んで帰路に就きました。その夜の宿は奥久慈いこいの森研修センターです。5時少し前に着いた時の皆さんの顔は喜びに満ち溢れていました。何と言ってもお腹がペコペコだったからです。そして夜の宴会、今回は新人歓迎会でしたので何時もよりも沢山お酒が入って一層賑やかな会になりました。
夜の食事は永瀬婦人が準備をしてくれ、そのうえ美味しい沢山の山菜のてんぷら等を準備してくれました。(深謝深謝)
*観察した植物*
木本;ミネカエデ、カジカエデ、ミツデカエデ、チドリノキ、ヒトツバカエデ、イタヤカエデ、ハウチワカエデ、コハウチワカエデ、オオモミジ、ヤマモミジ、ウリハダカエデ、エンコウカエデ、フカギレオオモミジ、ベニニシキウツギ、マユミ、サワグルミ、ブナ、イヌブナ、ネズコ、ゴヨウツツジ、ツリバナ、アワブキ、アカシデ、イヌシデ、クマシデ、カツラ、オヒョウ、ヒメウツギ、イワガラミ、ツルアジサイ、コナラ、ミズナラ、フサザクラ等。
草本; イワウチワ、オクモミジハグマ、オヤリハグマ、カシワバハグマ、オタカラコウ、ユキザサ、ミヤマキケマン、コンロンソウ、ヤグルマソウ、フタバアオイ、ルイヨウボタン、コチャルメソウ、ハルトラノオ、ニリンソウ、ヤマブキソウ、アズマヤマアザミ、トネアザミ等。
文と写真 林 聰一郎
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