「滝の倉湿原観察会」実施報告書
2024年6月21日
文:村田誠
1. 場所:高萩市
2. 日時:2024年6月15日(土)9:30~16:00
3. 参加者:会員5名、P会員2名
4. 感想:
滝の倉湿原 |
2年ぶりの滝の倉湿原への道は、多少の不安もあったが、なんとか入り口のゲートまで車でたどり着くことができました。
一昨年は、周囲の人工林の伐採が始まり、湿原に続く林道には重機が入り込み、大型トラックを通すため道の補強がされ、木材集積の土場もつくられていました。しかし、今年の林道には最近車が通った形跡はなく、草が生育し、ヤマハンノキやオノエヤナギが侵入していました。
木道は経年劣化は進んでいるものの、腐ったり崩れたりはしておらず、注意しながら歩くことはできます。入り口付近では、いつも白いノイバラが迎えてくれます。しかし、今年はなぜか白ではなく薄いピンク色のノイバラです。調べてみると、ウスアカノイバラと呼ぶ品種があるようですが、これまで白い花弁の自生ノイバラがなぜ薄いピンク色になったのか、理由を知りたいものです。
滝の倉湿原 |
湿原には流れ込む水が明らかに少なくなり、ヤマハンノキが成長し、レンゲツツジなどの木本が生息域を広げています。そしてミズチドリ、キセルアザミやサギスゲなどの草本が目につきます。
ここ高萩市の滝の倉湿原は、森林インストラクター茨城として観察を続け、もう10年近くなります。当初の記録を読み返すと、ここだけでも10を超える茨城県のレッドリスト植物が確認できます。食虫植物のモウセンゴケも普通に見られ、なかなか見ることのできない白い5花弁の花も写真に収めています。しかし、その後の観察ではこれらの希少植物、ラン科植物のトキソウやオオヤマサギソウ、オニノヤガラなどは二度と見ることはできません。また、その他の希少植物の多くが姿を消しました。
高萩市の奥深い山中に位置するこの湿原は、行政の関与も薄れ、ますます人を遠ざけるでしょう。そして、遷移も進み、遠からず湿地の機能は失われていくと思います。
ピンク色のノイバラ | 集合写真 |