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「御前山観察会」実施報告書

2024年5月4日
文:村田誠

1. 場所:城里町・御前山

2. 日時:2024年4月27日(土) 9:30~16:00

3. 参加者:21名(一般参加者13名、会員6名、パートナー会員:2名)

4. 感想:

これまで、毎年この時期に一般募集行事として実施していた御前山観察会ですが、コロナ禍に入り、一般募集は止め、会員だけでの観察会として続けてきました。しかし昨年5月、マスク着用が個人の判断となり、この春4年ぶりに一般参加の行事として実施しました。

コンロンソウ
コンロンソウ
ラショウモンカズラ
ラショウモンカズラ

コロナ前には、全国紙の地方版に行事案内を掲載してもらったのですが、地方版の廃止などがあり、周知する方法が見つからず、参加者を集めるのに苦労します。今回城里町のご厚意で町の広報紙「広報しろさと」に掲載していただきました。おかげさまで城里町から5人の申し込みがあり、ほかの一般参加者8人と森林インストラクター茨城会員を加え、総勢21人の観察会となりました。

ここ御前山は、水戸藩の御留山として樹木の伐採を禁じられたため、暖温帯林を形成する常緑樹や落葉広葉樹が広がります。

観察コースは、道の駅かつら河川敷駐車場をスタートし、東登山口から鐘つき堂跡を経由、西登山口に下り、皇都川沿いの道を戻る約3.7キロのコースをとります。東登山口から山道へ入ると、林床にはニリンソウなどの植物が観察できます。標高が上がり起伏が緩やかになると、かつての御前山城の遺構と考えられる地形の変化が現れます。城里町の参加者と、これは堀切でこれは土塁などと確認しながら歩きました。鐘つき堂跡で昼食をとり、西登山口方面に向かいます。ここでは、県内では自生地が少ないタチガシワを、いつもの場所で見ることができました。

西登山口に下り、皇都川沿いの道を歩くと、白い花を咲かせるコンロンソウが、道沿いにたくさん見られます。陽の当たらない林床に、シラユキゲシ(スノーポピー)が咲いていました。純白の花弁を持つ清楚で可愛らしい花で、花屋さんなどで売られていることもあります。この植物は中国原産の外来種で、その名が示すようにケシ科植物です。繁殖力が旺盛で、地下茎を伸ばして増え、本来ある林床植物に影響が心配されます。このため、生態系を壊す恐れがあるとして、駆除対象となっている地域もあります。ここ御前山でも、年々生息域が増えているようで気掛かりです。路傍に咲く鮮やかな黄色い花弁を持つヤマブキソウやラショウモンカズラは、今年も花を咲かせています。道沿いには、目に付きやすい植物の中に、レンプクソウやカビゴケなど地味で目立たないものも多く、これらを探しながら歩くのも楽しいものです。

今回歩いた山域は、御前山県立自然公園に指定されています。樹木はもちろん林床植物も多く、改めて植生の豊かさに感心しました。

ケヤキ展示林 集合写真
ケヤキ展示林 集合写真
観察の様子 観察の様子 観察の様子
観察の様子
観察の様子 観察の様子 観察の様子
最終更新日:2024年5月9日
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