「八溝山秋の花観察会」実施報告書
1. 場所:八溝山(シロヤシオコースから茗荷沢)
2. 日時:2020年11月7日(土)9:30〜15:00 天気 晴れ
3. 参加者:8名
4. 記録した植物
ムクロジ科 イタヤカエデ、カジカエデ、コミネカエデ、チドリノキ、ハウチワカエデ、ヒナウチワカエデ、(ヤマモミジ)
カバノキ科 アカシデ、イヌシデ、クマシデ、サワシバ、ミズメ、ヤシャブシ
ブナ科 イヌブナ、ブナ、ミズナラ
バラ科 ウラジロノキ、オオウラジロノキ
ツツジ科 シロヤシオツツジ、ネジキ
アオハダ(モチノキ科)、ナツツバキ(ツバキ科)、ハクウンボク(エゴノキ科)、ホオノキ(モクレン科)、リョウブ(リョウブ科)
針葉樹 アカマツ、ツガ、ヒノキ、モミなど。
5. 感想
八溝の森 |
茨城県の最高峰である八溝山は、山頂を茨城県と福島県で南北に二分し、西稜線上には栃木県が入り込む。当初の計画では、福島県側の矢祭町から茗荷川沿いにつくられた茗荷林道を歩き、秋の植物を観察。そして林道終点から「ふくしまの遊歩道50選」に選定されている八溝山天然林に入り、カエデ類などを同定しながら歩こうと考えていた。しかし20日ほど前の下見では、渡渉橋や登山道の崩壊が見られ、八溝山天然林に入ると落葉が進み、カエデなどの葉の観察は難しいかなと考えた。
参加者は「道の駅奥久慈だいご」に集合、ここで車2台に分乗し八溝山山頂に向かう。山間部では紅葉も始まり、テレビ報道などもあり周辺の混雑が予想されたが、山頂駐車場は意外なほど空いていた。ここから池ノ平、大神宮山方面への縦走路に入る。山頂付近はブナ帯とも呼ばれる冷温帯落葉広葉樹林が広がる。
集合写真 |
道は、北に福島県矢祭町の広葉樹林、南は大子町のヒノキの針葉樹林となる。道沿いにトゲ状の突起をもつ木に出会った。過去に県内の山で見かけた植物で、すぐにオオウラジロノキと分かった。小枝が刺状の突起になって残るこの木は、全国的に個体数が少なく、探して見つかるものではなく、偶然見つかる木のようだ。2017年、北茨城の栄蔵室方面観察会で棘だらけの異様な木に出会い、塚本さんにオオウラジロノキと教えていただいたのが初めて、その後、大子町の花瓶山、そしてここ八溝山と、都合3回確認している。バラ科植物であり、リンゴに似た白い花を咲かせ、果実も食べられるというが、花や実の時期にオオウラジロノキと遭遇したいものだ。
縦走路から分かれ、分岐を茗荷方面へ進む。ここに「ヤマモミジ」と名札のつけられた1本の木があった。私は、以前からイロハモミジと、日本海側に多いヤマモミジの違いを確認したい思いがあった。
ここで、会員の一人が大子の植物に詳しい知人と連絡を取り合い、八溝山にはヤマモミジはないという話を聞いた。しかし、奧久慈植物研究友の会長 小室健氏の書かれた「奥久慈の植物と自然」では「八溝山の植物」の項目でヤマモミジの自生が書かれている。 図鑑などで調べると、イロハモミジとヤマモミジの決定的な違いは確認できない。そのよう ななかでも、葉柄や果実の様子などで、探し当てることはできるかもしれない。 これからのお楽しみとしよう。
(文:村田 誠)