25年度初夏・農耕地雑草観察会 実施報告書
日時:2013年6月22日(土) 10時〜14時
場所:茨城大学農学部・フィールドサイエンス研究センター(稲敷郡阿見町)
参加者:21名(一般10名、会員11名)
昨年10月、初めて農耕地雑草観察会を会員限定で実施しました。今回は季節を変えて、初夏の茨城大学農学部のフィールドで、一般の方もお誘いして実施しました。前回同様、雑草群落の生態学を研究されている飯島和子さんと、雑草に詳しい会員の案内で3班に分かれて観察会を行いました。前日の雨が上がり、長靴を履いての観察となりました。
スタート地点のセンター管理棟の周辺は逐次草刈りされていますが、雑草の育ちは早く、路端のオオバコ、ブタナなどの観察から入りました。農場とその周辺ではハルタデの見分け方、ニワゼキショウの花の特徴などを聞きました。休耕畑ではヒメジョオンの群落や、メマツヨイグサがどの様に入り込こんでくるかのお話がありました。
防風林はヒノキ、サワラで構成されていますが、鱗片葉と気孔帯、球果の違いを見、多くのつる植物の見分け方を教わりました。林内にはドクダミの群落、ツユクサが多く見られ、花序と花の構造を見聞きし、マムシグサが雄から雌に性転換する話も聞きました。
水田の中にはウキクサが観られ、各種の稲が試験栽培され成長を比較観察しています。畑地の中にも雑草の侵入が見られました。観察対象が多くて、時間の経つのを忘れるほどでした。
各班とも12時前後で観察を終了した後、果樹園に入らせていただき、そこで昼食となりました。ビワの大木が1本、実がたわわに実っており、試食して味わいました。
昼食後、飯島さんからナシを接ぎ木してつなげる栽培法では2年で実がつくこと、カキの接ぎ木法で甘くておいしい千秋が早く採れることなどの説明があり実際に観察が出来ました。クリの木にはすでにメシベから小さい実が付き始めています。
その後、飯島さんが実際に雑草群落の遷移を観察している場所に移り、経過説明を受けました。2002年に更地にした場所では、10年経ち、2次遷移で、エノコログサなどからマツヨイグサ、セイタカアワダチソウ、さらにススキなど多年草が生えてきて、現状では木本が入り込みヒメコウゾ、ヤマグワ、エノキが見られます。30年くらいの長期の変化を観て行きたいとのことでした。
「雑草観察会」はここで終了しましたが、希望者は農学部本部校舎廻りに植栽された樹木の観察も行い、約30種の樹木を短時間で見ました。
参加された方から、「かなり学術的な説明を頂き、観察が出来、雑草にも親しみが持てました。」との感想を頂きましたが、充実した観察会となりました。幸い雨に会わず観察会が実施出来ましたが、終了とともに雨が降り始め、雷雨となりました!
観察会全体をリードしていただきました飯島さんに感謝致します。参加された皆様も、身近な雑草に関心を持たれ、初冬にも計画しますので是非参加願います。
観察された植物
①雑草類
ヘラオオバコ、オオバコ、チチコグサ、ハハコグサ、カタバミ、スズメノカタビラ、ブタナ、セイヨウタンポポ、ネズミムギ、ホソムギ、ハルタデ、ニワゼキショウ、ヒメジョオン、メマツヨイグサ、ヒルガオ、ノボロギク、ヤブガラシ、カナムグラ、イシミカワ、エビヅル、ヘクソカズラ、アカネ、ヒルガオ、ドクダミ、ヨウシュヤマゴボウ、ツユクサ、ニガイチゴ、マムシグサ、イヌガラシ、オヒシバ、メヒシバ、アメリカセンダングサ、ヘアリーベッチ、ヤブマメ、オカトラノオ、ウキクサ、アオウキクサ、エンバク、など
②樹木
ムクロジ、メタセコイア、ヤマコウバシ、アメリカフウ、ブナ、モクゲンジ、ナツツバキ、ヒメシャラ、イヌシデ、トウカエデ、ナンキンハゼ、ウラジロガシ、ヒイラギモクセイ、アラカシ、シラカシ、マテバシイ、オウゴンガシワ、オオモクゲンジ、ソヨゴ、アオハダ、モチノキ、ケンポナシ、トサミズキ、ハナノキ、チャンチン、サカキ、ソメイヨシノ、など
(文・写真 杉山正夫)