花・シダ・コケを楽しむ御前山観察会 実施報告
日時:2013年4月27日(土) 9時30分〜15時
場所:御前山(茨城県城里町御前山) 参加者:38名(一般22名、会員16名)
植物観察会といえばどうしても花が中心になりがちですが、今回は普段見過ごしがちなシダ類やコケ類にも注目して、一層植物への理解を深めたいと考え、表題の観察会を計画しました。
春の連休の初日は天候に恵まれ、絶好の観察日和となりました。総勢38名が4班に分かれて御前山東登山口から歩き始めました。すぐにニリンソウの群落、リョウメンシダやジュウモンジシダがみられました。ムチゴケがあちらこちらの樹幹に群生し、キヨスミイトゴケが枝先にぶらさがっておりました。斜面を登り始めるとその名のとおりの芽出しが赤いベニシダ、キジノオシダ、キヨタキシダが見られました。またこの辺りでは珍しいサカキの大木も見られました。慣れてくると、サカキがあちらこちらに生えているのがわかります。尾根に出て一休み。ここからは快適な森林浴の尾根歩きです。
やがて鐘つき堂跡に到着して一休み。ここは御前山の展望台ともいうべき場所で、那珂川や向かい側の赤沢富士が望めます。幸いなことにマルバアオダモが満開で、岩場ではケギボウシゴケも観察できました。一休みしたのち、マムシグサの歓迎を受けながら「関東ふれあい道」を歩き、西登山口への下り坂にさしかかりました。シキミやタチガシワの花、各種カンスゲ類を見ながら西登山口へ到着しました。
ここにもコケが‥‥ | タチガシワ |
西登山口前の広場で昼食。ここの大木にはナメリチョウチンゴケ、コハネゴケ、オオトラノオゴケなどが大木毎に大群落をつくっており、見事でした。またムカゴツヅリ、ササクサなども生育しています。帰路は皇都川沿いに歩きました。川沿いには名物のコンロンソウが咲き始め、トウゴクサバノオ、ネコノメソウなど春の定番も見られました。ガードレールには絶滅危惧種カビゴケや緑藻類スミレモが着生していました。曲がり角にくると、期待したレンプクソウの開花株があり、かわいらしい姿に歓声もあがりました。林を抜け民家の横を通って駐車場に無事戻りました。
今回の観察会でメモした植物は約80種程度でした。このように狭い地域で多様な植物が観察できる場所は県内では稀です。季節を変えて訪問すればさらに楽しめると思われます。
(文 高橋、写真 山口)