「第4回 林業研修」の報告
今月は、梅雨が早々に開け真夏の太陽の下での林業研修になりました。雨模様は涼しくて良いが真夏は晴れると幼樹の森は頭上に日陰がない。どちらが良いかと問われてもなかなか答えにくい。それこそ森の神様の御心次第でしょうか。そして幸いなことに今回も何ごともなく無事終了することができました。参加・支援してくれました皆様に御礼と報告をいたします。
1.実施日時 平成23年7月16日(土) 9時から15時まで
2.参加者
一般参加;なし
会員;高橋、杉山、鈴木、打越、林(見学と報告)の5名 他に荷見(山主)さん
3.状況報告
今回は前回下刈りした同じ植林地での作業だった。山主さんが、“植えたばかりの植林地は早く刈った方が良い。”と言う。識者から助言を受けてのことですが、なるほど・・・と感じる前に、しかし幼樹に雑草が被らない方が良いのは当然、と言ってしまえばお仕舞いか?
でも下刈り後1ヶ月の畑(草原?)は雑草が大きく成長してなく、やはり幼樹が隠れるほどに雑草が成長していないと、「下刈り」する“はりあい”がないことは事実。
雑草が成長してない畑での作業を見て、自動刈り払い機よりも大鎌の方が作業性に優れている。刈る雑草が小さいのだから、容易で体力の消耗がより少ないのは当然。それでも暑い最中の作業で自動刈り払い機も大鎌も大汗をかいて疲れることは同じだが。(見学者の独り言)
4.観察した植物
今回は一般の植物は対象とせず、シダ類に特化した。たまたま目に入った野草は、オオカニコウモリ、小さいピンクの可憐な花のミズタマソウ、黄色の花と葉が特徴的なサワギク、まだ開花に少し早いクサアジサイ、そう果の棘が曲がっているキツネノボタンなど。
下刈りする畑も約60年生のヒノキの森も、林床は一面にシダが群生している。イヌガンソクからイヌワラビ、イノデ、イワシロイノデ、オウレンシダ、オオベニシダ、オクマワラビ、オシダ、キヨタキシダ、ゼンマイ、シケシダ、シシガシラ、ジュウモインジシダ、シラガシダ、トウゴクシダ、ナライシダ、ヌリワラビ、ハリガネワラビ、ヒメワラビ、ヘビノネコザ、ホソバシケシダ、マンネンスギ、ミドリヒメワラビ、ヤマイヌワラビ、ワラビなどまだまだあったろうが20数種ほど数えた。勉強を始めて1年に満たない未熟モノには、目に入らない多くのシダがあっただろう。
*不思議発見!
キヨタキシダの特徴である「軸表側の溝は羽軸から中軸に流れ込む」と図鑑にあるが、ヤマイヌワラビにも同じ溝が見られた。区別はソーラスが異なるので直ぐにできるが、ソーラス無き時期には判別不能?と一瞬頭に浮かんだ。そんなことは無い。キヨタキシダの小羽片は“達磨落とし”or“親亀の背中に小亀、孫亀・・・”の形、何段もの鏡餅のようだから間違うことはない。
またナンタイシダはないかと群生するナライシダのソーラスに目を点にして探したが、残念なことに無駄な苦労に終わった。でも一葉のナライシダにもソーラスの向こうに山が見えた。間違ってあるのだろうが幾つか小羽片で目にした。自然はこんなことが当然かも知れないが。
【感想文】 鈴木次夫さん
暑さの中の下刈り、大変ご苦労様でした。そして、お世話になりました。標高800メートルの地でもあの暑さ、平地での作業でしたら、今頃は熱中症でグッタリ寝込んでしまっていたのかもしれません。力仕事しか能のない私ですら、午後からの作業は特にきつくバテ気味でしたが、5月に植栽したヒノキの苗木が、しっかりと根付いていることに感激しました。
伐採まで50〜80年はかかるのでしょうが、この苗木が大木になることを思うと、鎌を振る腕に自然と力が入ります。
妻言わく。あなたが、ゴルフウェアーに身を包みクラブを振ったり、植物図鑑を片手にルーペを覗く姿は想像できない。古ぼけたザックを背に野山を駆け巡ったり、作業服に身を包み大鎌を振るう姿が似合ってると。やはり、分相応・身の程をわきまえて、ということか。言い得て妙なので、納得してしまいました。
「予告」
次回の林業研修は8月20日(土)に「枝打ち」と「間伐」の予定です。今回は見学者の1名だけがシダの現地調査をしましたが、荷見の森の林床はシダの森です。次回は群生するシダを観察し採集する絶好の機会です。是非、都合をつけて「シダの採集」を一緒に楽しみましょう。参加をお待ちしています。
報告 林 聰一郎