「2008年第2回林業研修会」の報告
天気予報は全く期待できなかったが、24日の天気は薄日がもれるようなマアマアの日でした。研修する森のある場所は茨城県ですが福島県の予報の方があたることもしばしばと聞いています。
また山はすっかり新緑に包まれ、花が咲いたかと思うほどに爽やかな樹木も見られ、そのうえ5月下旬の山は山菜の時期も過ぎ、静寂に包まれていました。その風景は「目に青葉山ほととぎす夏鰹」と表現するのがピタリ。ホトトギスの鳴き声が山に響き渡るなかでの研修でした。
先日、山の中で新緑が始まると山肌からの湧水が著しく減少することを聞きました。同行した山里の人が、昨日は足が濡れるほど湧水がほとばしっていたけどナー! 今日は本当に水が少ないと言っていました。その日はちょろちょろとしか水は流れていません。新緑の始まりはそれほど沢山の水を樹木は急激に必要とするのだと、またミズキの名前のいわれを実感できました。
1.日時 5月24日(土)と25日(日)
2日間の実施予定でしたが、25日(日)は朝から雨でしたので中止にしました。
2.研修内容 「枝打ち」
(1)24日AM;スギの枝打ち
①低所枝打ち(地上作業)
「ノコギリ」の使い方や枝打ち時の姿勢、また樹皮の損傷や剥離対策の作業法、枝打ちする範囲(高さまで)の決め方など。
②高所の枝打ち(梯子の使用)
梯子の安全な立て方や安全ベルトの装着と使用上の注意や安全確認など。
(2)24日PM;ヒノキの枝打ち
スギとヒノキの作業の違いと枝打ち時に注意することなどを研修。
(3)研修の成果
ノコギリの使用法はなかなか難しいですが1、2時間の研修で実のある研修ができ、そして参加者全員が何事もなく研修を終了することができました。(山の神さまに深謝しました。)
3.研修場所 常陸太田市岡見 荷見さん所有林
4.参加者 5名
5.観察した植物など
(1)野草
4月の研修会では見られなかった コキンバイは既にどの株も全て花弁を落としていました。(写真は一昨年のもので参考までに掲載します。)
ヤマシャクヤク、ツルカノコソウ、オランダガラシ(クレソン)、タニギキョウ、イノデ、ヤマドリゼンマイ(胞子葉)、ニョイスミレ、ユキザサ、ヒカゲノカズラ、コキンバイ、ツクバネソウ、コチャルメソウ(実)、ネコノメソウ(実)、ホウチャクソウ、ヒゴクサ、フキ(花)、オヤブジラミ、ミヤマハコベ、カメバヒキオコシ(新芽)など
左の写真は「ヤマシャクヤク」です。ボタン科の野草で林床(森林の樹下の環境)の陰に静かに咲いています。この植物の実は鳥のお腹を通らないと発芽しないといわれています。
下の写真は「コチャルメルソウ」です。ユキノシタ科の野草で渓流などの岸辺に生息します。芝生に生えり込むチドメグサの葉にソックリな葉をしています。写真左から、全体、ゲジゲジのような花、そしてお椀に入った実です。
(2)樹木
イワガラミとツルアジサイはそっくりな樹木(ツル植物)です。区別は花が咲けば簡単に判りますが、花のない時期は鋸歯(葉の周辺のギザギザ)を観察します。イワガラミの鋸歯は鋭く、葉の先端に向って大きくなります。他方ツルアジサイは一様な大きさの鋸歯をしています。
イワガラミ、ツルアジサイ(一部開花)、ハクウンボク(蕾)、ウワズミザクラ(満開)、スノキ(開花)などを観察
(3)野鳥
研修中は四六時中ホトトギスの鳴き声が伝わってきました。ホトトギスの鳴き声は“特許許可局”とか“テッペンカケタカ”と古くから言われていますが、私にはなかなかその様に聞こえません。たまたまラジオで“キョッキョッキョッ・・・”を“ホトトギス”と聞くと解説していました。また珍しくジュウイチ(11「じゅういち」と鳴く)の鳴き声も聞こえました。
ホトトギス、ジュウイチ、シジュウカラ、ヤマガラ、ミゾサザイ、ウグイス、ヒガラなど
報告 林 聰一郎