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「自然観察会 in 雲龍渓谷」

日光の観察会は、昨年とちぎ森林インストラクター会の海老原副会長から紹介されましたが、計画倒れになってしまい残念な思いをしましたが、今年は杉山事務局長のパワーでようやく日の目を見た行事です。見所は日光亜高山帯の植物を観察、特に日光足尾の庚申山にしか生息しないとされる「コウシンソウ」を、日光連山の雲龍渓谷に訪ねる観察会です。とちぎ森林インストラクター会の武井会長をはじめ、会員の皆さんによる案内と解説で、参加者全員が楽しく珍しい植物を観察できました。空模様は時に危なかったが「晴れ男」がいて空も体も無事に終了しました。(深謝!)

また翌日は東京大学付属植物園日光分園の植物観察を実施しましたが、こちらはとちぎの小川さんのご尽力で、案内は植物園准教授の舘野先生が担当していただき、その解説は植物園の先生ならではのおもしろい動植物の生態など、一般の解説と違った面からの話に楽しく傾聴できました。

1.日程と場所

平成22年7月10日(土);女峰山・赤雉山の雲龍渓谷

2.参加者

(1)森林インストラクター茨城;高橋・堀内晴生・柿崎・藤井・粕田・居村・杉山(幹事)の各氏と筆者の9名

(2)とちぎ森林インストラクター会;武井会長、海老原副会長、小川さん、墨谷さんの4名

(3)全国森林インストラクター神奈川会;高見さん

(4)東京大学植物園日光分園;綾部さん、清水さんの2名

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3.雲龍渓谷

雲龍渓谷は、日光連山の女峰山(2483m)と赤薙山(2010m)から流れる稲荷川の源流に位置し、女峰山からの尾根を巻く工事用の道があり、亜高山帯の植物を観察し散策できる素晴らしいコースです。しかし日光連山の大規模火山帯の脆弱な山を保護する日本一の砂防ダムの工事道路であり、舗装道路には大きな岩がゴロゴロと道を塞ぎ、肝を冷やすような場所が各所に見られました。

この工事現場は稲荷川の急傾斜面なので危難回避のためにブルト−ザ−はリモコン操作で実施していると、専門家の堀内さんから格調高い解説がありました。

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左はギボウシ(ウルイ)と間違って食べ、毎年春になると山菜の中毒で新聞記事になるバイケイソウです。花はアケボノソウに似て美しいのですが、芽の出始めはギボウシそっくりの毒草です。(要注意の偽山菜です。)

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左の写真は「コウシンソウ」の葉です。タヌキモ科ムシトリスミレ属でムシトリスミレにそっくりな花・葉の形をしています。(花の時期は終わったので左上に花を添付します。)

また左下の写真は雲龍の滝ですが、見た通りの細長い滝で、滝の上部にはさらに大きな滝があると記憶しています。今日は滝の上部は霧にかかり、しかも遠方からの撮影だったので不鮮明な写真で残念です。

またこの滝は冬期にアイスフォールになり、氷壁へ多数の人がアタックする名所です。筆者も若い時代(40数年も前)にチャレンジし、もちろん大成功!としか言いませんが、滝までの長い雪道は大変なアルバイトで、今でも苦しい思いがよみがえります。

「観察した植物」

亜高山帯なので花の時期は遅いが、ツルガシワ、クワガタソウ、ショウキラン、クモキリソウ、ミヤマカラマツ、カワラマツバ、カナビキソウ、イワキンバイ、イワギボウシ、チシマゼキショウ、ダイモンジソウ、ウメバチソウ、ウスユキソウ、ユキワリソウ、クルマユリなどの草本類。

ユモトマユミ、ヤハズハンノキ、オオツルウメモドキ、アオダモ、マカンバ、フサザクラ、ミネカエデ、イタヤカエデ、サワグルミ、ハウチワカエデ、オオイタヤメイゲツなどの木本類です。さすが下野の国、シモツケソウの仲間、シモツケ、シモツケソウ、イワシモツケ、アカシモツケ(キョウガノコ)の4種が観察できたと、参加者の声がひと際高く聞こえました。

また日光連山には鹿が生息しているのは有名ですが、道路わきに群生するテンニンソウの先端は多数食べられ、さらに目の前を横切る姿も。また森の中でミユーミユーと鳴声も聞こえました。

下の写真は、雲龍の滝を眺める対岸の山腹です。足元は火山岩の風化した砂が積もり、頭上には今にも落ちそうな岩が目に入り、気の弱い参加者は落石を恐れて早々に退散してしまいました。(写っていない人が気の弱い人?)足場のない崖っぷちをギリギリまで下り、危険を冒してまで記念写真を撮ってくれたのは武井会長と小川さんでした。(本当にありがとうございました。)

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このあと、日帰りの皆さんはそれぞれ帰途につきました。私たち宿泊者は日光交流センターに行き、温泉にゆったり浸かり、その後は茨城・栃木・神奈川の交流会で時間を忘れ、飲み・食べ・声を張り上げ遅くまで親交を深めました。(皆さんありがとう。)

報告;林 聰一郎

*東照宮裏の北野神社周辺は素晴らしい森です。皆さんも是非この自然を体験してみて下さい。

最終更新日:2010年7月27日
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