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「秋の八溝山を散策して紅葉を楽しもう会」の報告

やっぱり秋の空は予想が難しい? 特に1週間前の天気予報なんて当てにならない? この日を晴れ時々曇りに想定していましたが、当日は曇りで空気の冷たい日になってしまった。(幸いに雨ではなかった。)

しかし今年の秋は何と変な天気なのでしょうか! 自宅周辺(ひたちなか市)では狂い咲きの条件に係わらないサクラやツツジなどの開花が見られます。これが異常気象なのかもしれませんが、さらに気象庁が発表した紅葉は例年よりも早いとの予報でしたが、八溝山などでは逆に遅いようで、これからは過去に経験のないような気象状況になるのでしょうか? それとももっと大変なことの前兆なのかも知れません。

1.滝川渓谷の散策;11月8日(土)午後1時から4時まで

(1)滝川渓谷は日本有数の棚倉断層にできた阿武隈山系の渓谷です。地元の人の話によりますと昔この渓谷は、夕方や雨の日には“キツネがでる!”との言い伝えがあり騙されると。しかし最近財政改革で有名な矢祭町が橋など登山道の整備・安全対策をしたのでキツネはどこかに逃げて行ったらしい。その代わり数年前から町の老人会有志が入山料金(200円)を徴収し厳しい財政を支援していました。

(2)参加者は、会員8名一般参加者2名の合計10名で、都合により2班に分かれて行動しました。

(3)観察した植物

すでにほとんどの野草は枯れ、ただ独りオヤマボクチだけがポツンと咲いるのが寂しそうに見えました。しかし樹木の紅葉には少し早いようで、カツラやカエデ類そしてシデ類が緑の中に少しだけ紅葉を散らし、でもヒトツバカエデだけはまん丸な黄葉をあちこちで見せてくれました。いつもは見られるオヤリハグマやカシワバハグマ、そしてフクオウソウなどの花は既に実になり、頂上付近ではコハウチワカエデだけが真っ赤に紅葉していました。また不思議なことに頂上付近の湿原では、ミズバショウが芽を出し、尾瀬では6月頃の夏の初めに咲くリュウキンカが黄色い花を付けていました。

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2.八溝山散策;11月9日午前9時半から午後3時まで

(1)概要  国道118号線の下野宮信号機脇に午前9時集合し、八溝山登山口の蛇穴(じゃけち)にある石の鳥居をくぐり曲がりくねった細い道を約20分あまりで日輪寺入り口に到着。駐車場に自動車を残し100メータほどうえの「八溝五水入り口」から散策を開始。ここから金性水まで約20分では多数のシラキが生息し、例年だと葉表には緑、赤、黄色など「千代紙」のような斑点を作り、押し葉にすると一枚で素敵な「モミジ」になるのですが、今年はカロチノイドだけの黄葉で少々がっかりでした。

このコースは登山と呼べるような坂道は10分程度の八丁坂の登りしかありません。途中には有名な「八溝五水」(水戸黄門さんが命名したといわれる湧き水)の金性水、鉄水、龍毛水、白毛水そして銀性水があります。青竹の樋やコンクリートの造作で風情がないと皆さんにはイマイチの人気でした。

山頂に着いたのはちょうど予定の12時で観光展望台の下で昼食。食後には山頂の八溝嶺神社に観察会の無事を祈願し、駐車場まで戻ってから、福島県側の久慈川源流の鹿ノ又林道に至る登山道に向いました。この辺りでは紅葉に少し遅かったようですが、色とりどりの色をしたウリハダカエデやハウチワカエデ、また見事な赤色をしたコハウチワカエデに目を奪われ、枝に触れた(本当は葉を引っ張った?)だけでチラリと落葉する「秋のモミジ」を堪能しました。しかし今年もホソエカエデの葉を2,3枚拾いましたが高いところに枝を張る樹木がどれであるかは特定できませんでした。

(2)参加者は、会員7名と一般参加者4名の11名でした。

(3)観察した植物

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黄色のシラキとミネカエデ、さらにヒトツバカエデやチドリノキなどなど。またブナやイヌブナもそこかしこに見られ2種の区別ができるようになった初参加の女性。またミズナラの渋い色合いやオオモミジの赤も加わり、山を秋一色に染めていました。特に、コシアブラの黄葉は高いところにありますが透き通るような淡い黄色で皆さんの歓声を浴び自慢そうに一行を見下ろしていました。

ミヤマガマズミ、ウラジロノキ、カジカエデ、ヒナウチワカエデなどなど。また修験道の杉並木にある樹齢数百年を越すスギの大木やアスナロの巨木などを見ながら最後の八丁坂を登りました。途中期待していたキク科トウヒレン属のシラネアザミは既に種子になり葉は霜にうたれて見る影もありませんでした。

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左の写真は昨年10月29日に撮影しました久慈川源流の風景です。この撮影した場所(頂上下の鹿ノ又林道に至る山道を距離にして200メータほど下った場所です)を散策しましたが、向こうのモミジはアントシアニンやカロチノイドは無くなり、タンニンだけが目立っていました。

来年はこの風景に是非お目にかかれるように計画をしたいものです。そして参加者の皆さんご苦労様でした。

最後に、今回は特別に参加者から感想文を投稿してもらいましたので以下に掲載します。

報告  林 聰一郎

「秋の八溝山を散策して紅葉を楽しもう会」の感想文(投稿)

1.簡 昌子さん(初参加)

秋の八溝山を楽しく散策する会、充分楽しませていただきありがとうございました。おへそが直角に曲がっているという、インストラクターさんの絶妙な解説で、終始、興味尽きることなく歩けました。多様なモミジをそれぞれ確認しながら、山の紅葉をゆっくり、たっぷり味わえました。八溝山の紅葉は色鮮やかで、茨城では貴重な存在ですね。黄葉・紅葉の木々の中で、透き通るような薄黄色のコシアブラがとても印象に残りました。

後半で見た福島県側のダイナミックな光景はまさに錦秋…春の再訪を楽しみにしております。

2.増田 勝彦さん(初参加)

「秋の八溝山を楽しむ会」に参加させていただき有難うございました。心配した雨も降らずに薄雲が空を覆う程度で、冷涼な空気のなかで、快適な秋の山歩きを堪能することができました。自宅の牛久から下野宮交差点までは、約2時間20分程度で予想より早く着き、袋田駅に立ち寄って、一呼吸おいて集合地にむかいました。

スタート地点の日輪寺入口でいただいたカエデの資料は、市販本では見られないような数々の解説が載っており、貴重な資料として、帰ってからスキャンしてパソコンに保存しました。また、樹木探求に熱心な同好の方にメール添付で送ったところ、次のような返信がありました。

<カエデは種類が多いうえに似たものが多く、なかなか見分けがつきません。全く名前のわからない葉からその名を突き止める方法、名前の見当をつけてから確認してゆく方法。さっそくやってみたくなり、いま全部印刷したところです。>

私もカエデの見分け方はいつも難しく感じていますが、詳細な資料と対象樹木を目の当たりにし、解説を聞きながらの観察は、まさに「百聞は一見にしかず」の例えどおりで良く理解できました。また、日輪寺から八溝嶺神社までの2時間半の山歩きは、中腹に向かうほどに燃え立つ赤の葉が樹木の緑に映えて、美しさに感動しました。途中、コシアブラの木をみたり、ブナの特性を伺ったりしながら、予定時間がアッという間に過ぎてしまいました。

関西育ちの私は牛久に住んで以来、手じかな場所での紅葉見物はあきらめていましたが、今回の観察会はその考えを変える節目になりました。ユーモアに溢れたご案内と、楽しい解説をありがとうございました。

3.打越 榮さん(準会員)

山行の数日前、NHKの天気予報で紅葉最適との八溝山情報が紹介されていました。“やばい!せっかくの穴場に大勢の人が押し寄せて来てしまうのでは”と、少々、報道を恨めしく思ったりしていました。が、実際にはそんなこともなく、天候は薄曇りだったものの、ブナやカエデ類の紅葉,黄葉、コシアブラの爽やかな色づき、そんな木々に包まれての軽ハイキング。ゆっくりしたペースで山道を歩き、樹木や足元の植物などインストラクターの説明は明快かつユーモアたっぷりで、納得。“加齢性記憶力衰退症”の私は、写真とメモで記録に残し、調査用に落ち葉をせっせと拾い集め(地域によっては落ち葉や枯れ枝を拾ってもダメという国立公園があるようです。*注1)資料収集。

カサコソと落ち葉踏みしめ、野鳥の囀りを聴きながらのone day hiking. とても清々しい気分に浸ることができました。インストラクターの皆さん、参加者の皆さん、ありがとうございました。

*注1 http://www1.neweb.ne.jp/wa/kamikochi/「お願い」をクリックしてみてください。

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4.飯島 和子さん(準会員)

11月8日、紅葉見頃の滝川渓谷ハイキングを楽しんだ。「東北最南端の秘境 48の滝を見られる滝川渓谷」と都内からバスツアーも出ている紅葉の名所である。とはいうものの私ははじめて訪れる。

渓流沿いにつくられた遊歩道は麓の「大ぬかり口」から山頂の「馬渡戸(まわざと)口」までよく整備されている。全長約3km、標高572m、往復約3時間の行程である。麓と山頂のどちらにも駐車場やトイレが設置されており、どちらからでも快適なハイキングが楽しめる。

今回は麓からのコースを選ぶ。入り口で環境整備料200円を納め出発。まもなく、滝川神社の真っ赤なほこらがある。まずはここでハイキングの無事を祈る。ほこらの隣には地元の小学生が作成した滝川渓谷マップが設置されている。滝や橋の位置や名称がわかりやすく書かれている。ひらがなで書かれているのもよい。この渓流は降雨後かなりの水量になるので、渓流沿いの遊歩道を歩くには長靴が向いているとのことで用意したが、この日はしばらく雨が降っていないのか、渓流の水は少なく、遊歩道も乾いているのでハイキングシューズで大丈夫であった。

遊歩道を歩き始めてまもなく「一丁目おぼろ滝」の立て看板。「第一絶景ポイント」というところである。小さな滝があり、流れにはイワナの泳ぐ姿が見られた。「姿の見える魚はなかなか釣れないもんだよ。向こうからも見えているから。」などと話しながら絶景を楽しむ。

遊歩道の立て看板には「ニ丁目鋸葉(のこば)の滝」「四丁目見返りの滝」「五丁目みすじの滝」などと丁目や特徴のある滝の名前が書かれている。遊歩道には階段、手すり、くさり、橋などが設けられよく整備されている。環境整備料のおかげかな。

途中、このコースに約10個所あるという炭焼き窯の跡がある。昔から地元の人々に利用されていた里山の名残のように思われた。

渓流上層部のカエデ類はまだ緑の葉も多いが、上るにつれ、少しずつ紅葉や黄葉が増えていく。渓流の水音を聞きながら、緑葉、紅葉、黄葉、茶葉、岩、渓流からなる景観をながめるのは最高である。

「なぜ紅葉するか」の説明を聞きながらさらに山頂を目指す。そこで、少し植物のお勉強。「紅葉は低温によって葉柄の基部に離層が形成され、葉に赤色のアントシアンなどの色素がたまってできる。黄葉はクロロフィルが分解された後にカロチノイドなどの色素が目立ってできる。また、渋みの原因であるタンニンが茶色の葉の原因である。」

まもなく七丁目に到着。そろそろ引き返さないと明るいうちに麓まで戻れそうもない。「八丁目銚子口の滝」は次回の楽しみとして、ここで引き返すこととする。

紅葉と渓流を満喫した約2時間のハイキングであった。

企画・準備された役員の皆様ありがとうございました。次回は新緑の時期に訪れようと思っています。

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最終更新日:2008年11月23日
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