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「八溝山観察会」報告

6月8日(日)に八溝山の観察会を実施しました。前日7日(土)は森林インストラクター茨城の新入会員歓迎会で月居山を散策し、夜は憩いの森研修センターに宿泊し楽しくお酒を飲みながら歓談をしました。神様のご加護があったのか両日とも梅雨時にしては、幸いにも暑すぎることもなく、また曇りでしたが雨の心配のない絶好の観察会になりました。(神様に深謝!)

1.八溝山頂まで

集合場所の国道118号線の大子町下野宮交差点から山道を約40分ドライブし9時頃に八溝山頂に到着しました。山頂には見晴台と八溝嶺神社があり、神社裏の一等三角点が八溝山の山頂です。(参加者12名で記念撮影をしました。)

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2.観察会のコース

前半は山頂北(標高950メータ)から少々急な奥久慈源流の尾根筋を下り、渓流を数度渡り鹿ノ又林道終点までの約1,200メータ。標高差250メータ、傾斜20/100の急勾配の奥深い森を歩き堪能しました。昼食は鹿ノ又林道終点(標高720メータ)で30分の休憩。後半は林道入り口(標高450メータ)まで約5キロメータのなだらかな道(勾配5.4/100)で植物観察には最適な道程でした。
(午前10時〜午後3時(熱心に観察したため予定時間を30分もオーバー、反省・・・。))

3.観察した植物

同じ山なのに南と北側と言うだけで、茨城県と福島県の植生に大きな差が見られます。茨城県側には標高800メータ付近にダケカンバがありますが福島県側には全く見られません。また多数のシラキ、ブナやイヌブナが生息しますが、福島県側ではシラキやイヌブナはあまり見られません。しかし茨城県側にはあまり見られないゴヨウツツジ(愛子内親王のお印のシロヤシオ)やカツラの木などは多数見られました。

今回は福島県側に多数生息しその標高が変わると種類が明確に変化するカエデについて、また特定の標高にだけ観察できるツツジや野草など観察した植物について報告します。

1)山頂(標高1022メータ)から登山口(950メータ)まで

①カエデ類

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神社前のオオイタヤメイゲツ、車道終点にアサノハカエデが、登山口周辺ではカジカエデ、エンコウカエデそしてオオモミジなど5種類。

②その他

大きなマユミが数本沢山の花を付けていました。イワガラミやツルアジサイも見えましたが、今年のイワガラミの鋸歯は優しそうな形(まだ芽吹いたばかりだからなのか?)のように感じました。それからブナの花が咲いていましたが今年は豊作になるでしょうか?

2)登山道から鹿ノ又林道終点まで(標高950m〜700m)

①カエデ類

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ハウチワカエデ、コハウチワカエデ、(オオバ)ミネカエデ、コミネカエデ、ウリハダカエデ、チドリノキ、ヒナウチワカエデ、ヒトツバカエデそしてイタヤカエデなど9種類。ここで昨年秋に「ホソカエデ」の落ち葉を沢山拾いましたが、樹冠(樹木の枝や葉が繁っている部分)が高く、登山道からウリハダカエデとの区別できませんでした。

②ツツジ類

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ゴヨウツツジ(別名シロヤシオは落花後1週間か)、アブラツツジ(花)、サラサドウダン(白い花から赤い花まで色々)、バイカツツジ(落花直後)、ヤマツツジ、ネジキ、ナツハゼ、など8種。

③その他

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標高850メータ付近にはイワウチワの大群落、800メータ付近にはオクモミジハグマ、オヤリハグマ、カシワバハグマそしてオオバハグマなどのハグマ類など。その下方にはチャルメルソウ、フタバアオイ、レンゲショウマやコンロンソウなどが。とくに730メータ付近にだけ何故かルイヨウボタンの群落がありました。

また渓流沿いに標高700メータまでサワグルミが多数見られ、特に今年の実生が足の踏み場もない程に芽生えていました。

3)林道終点から入り口まで(標高700〜450メータ)

①カエデ類

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ミツデカエデ、ヤマモミジ、ウリカエデそしてオニイタヤなど4種類、頂上から数えると全部で18種類ものカエデを観察できました。

②ツツジ類

トウゴクミツバツツジやヤマツツジなど2種類。

③その他

林道終点では空が大きく広がり目の前には大きなサワグルミが沢山見られます。そしてこの辺りからカツラの木が目に入ってきます。ここのカツラはひこばえ(孫生)があまり出ていません。また直ぐの左手に大蛇が出そうにない場所ですがウワバミソウ(別名ミズ)が沢山ありました。

また山頂に沢山ありましたニシキウツギは標高が450メータほどの場所になるとまた生息しています。標高が400メータほどになるとケヤキなども見られました。野草ではヤマハタザオ、ヤグルマソウ、ウスゲタマブキやフシグロセンノウなどを見ました。なお写真は林道脇で見かけたお客様です。

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「参考;八溝山の位置と歴史」

八溝山は茨城と栃木県・福島県境にあり阿武隈山系の最南部に位置し、標高1,022メータは茨城県の最高峰です。その名称は山頂から八つの流れ(溝)があるから、また登山口から奥は奥深い森林なのでこの奥は「闇ぞ(ヤミゾ)」からとも伝えられています。さらに歴史を遡ると古く日本有数の金山でもあったそうで、9世紀初め遣唐使の費用はこの八溝山から採掘した金を使用したとの記録があります。また江戸末期の天狗党の乱で田中愿蔵の一党は八溝山に逃れ、山頂にある八溝嶺神社で解散し捉えられた歴史(詳細は大佛次郎著「夕顔小路」に)があります。

八溝山一帯はミヤコザサ(節部は球状に膨らんでいる)が繁茂し、それは良質な家畜の飼料として古くから軍馬を飼育する牧場があり、その影響か茨城県側は植物の多様性が低く、福島県側は塙町から奥深く人の出入りがなかったので豊かであるとの説があります。しかし江戸時代には厳格な管理に置かれた八溝山の森の資源は類を抜き、JR水郡線は八溝山国有林の開発のために敷設されたと伝えられています。

また標高800メータの中腹にある日輪寺は古くから関東の修験道場として、また現在は坂東三十三観音霊場の第21札所としても有名です。

報告  林 聰一郎

最終更新日:2008年6月25日
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